一隅を照らす
- 2018/06/13
- 20:04

人間は神仏でないのですから
全知全能ではありません。
短所もあり長所もあるのが人間なのです。
また、欠点ばかりで何一つ良い所がない、
逆に一分の欠点もないなどという人間も
また在り得ません。
そこで人間として大切なことは、
短所を補い長所を延ばしていく努力です。
この努力こそが人間に与えられた
使命の一つといえます。
これが人間修行であり、この努力を
弛まず怠らず一生涯続けていく人が
最も尊い人ではないかと思います。
確かに人間は弱いものです。
他人の富、地位、名誉が気になり、
何とかこれを己れのものにしたい
という欲望があります。
これが人間社会における争いの因です。
人間にはそれぞれ生れ乍らにして
与えられた分野というものがあります。
昔の旅には駕籠が使われました。
駕籠そのものの使途を十分に
果たすためには駕籠に乗る人、
これをかつぐ人、そしてまたかつぐ人の
ワラジを作る人が必要です。
それが誰も彼もが駕籠に乗ること
ばかりを主張したのでは
駕籠は動きません。
駕籠かきばかりで乗る人がなくては
役にもた立ちません。
このように駕籠の社会的機能を
十分に発揮するためには
前者三人三様それぞれの働きが
なくてはならぬのです。
三者それぞれに重要な働きを
しているのであって、
その間に軽重尊卑はありません。
人間各自が己れたの立場、持場というものを
よく理解し、他人の立場をねたんだり、
金銭の大小にこだわったりせず、
自己の責任を黙々と果たしていく、
これが一隅を照らすということに
なるのです。
名誉、地位、財産が人間の価値を
決定つけるものでは決してありません。
闇を走る列車の信号を見つめる眼、
台風や怒涛の中に灯台を
守りつづける手のように自己の持場の
責務を黙々と果たし、
社会の一隅を照らす人こそ
真の価値ある人間なのです。
社会への貢献度こそ最終的に
人間の価値を決めるのだということを
よく頭に入れておいて頂きたいと思います。
児玉語録
和歌山断酒道場 前道場長
児玉正孝先生訓話集
     



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